新型インフルエンザの感染拡大に歯止めがかからない
個人的に関わっている2つの大学で感染が同時に発生しました。なお、両大学は横浜線沿線にありますが今回の感染発生に共通項はないと思われます。
「医学界新聞」(医学書院発行の週刊新聞)の2009年新年特集号が「インフルエンザパンデミック」でした。
ここでは鳥インフルエンザ(H5N1)を想定していますので、現在の新型インフルエンザA(H1N1)とは異なりますが、日常生活面でのコメントを抜粋してみると第2次流行に備え個人が何をなすべきかが見えてきます。
国家防衛戦略で万全の体制を整えていたはずのアメリカが、現時点で世界最大の感染者数である事実は非常に示唆的です。
以下抜粋します(医学界新聞第2812号 2009年01月05日を一部改変)
生活インフラで何が起こるか
新型インフルエンザによるパンデミックが起こった際に,どのようなことが予想されるのか。
一般の職場では,発病のため相当数の欠勤者が出ることが予想される。さらにそれ以外にも,家族の看病,学校や保育所などが閉鎖されるなどの理由で欠勤者が増えると考えられる。
そうした事態になると電気・ガス・水道などのライフライン,公共交通機関や運送業務などにも大きな影響が出ることが危惧されている。また日本の場合は特に,多くの患者が医療機関を受診することが予想され,その急激に増大する医療需要に対応するために,医療資源の確保あるいはその有効利用に向けたトリアージが重要になる。
過去のパンデミックをもとにした厚生労働省の試算では,医療機関を受診する患者数は1300―2500万人,入院患者数53―200万人,死亡者数17―64万人と推計している。
パンデミックが始まるとコントロールは困難
いったんパンデミックが始まってしまえば,現在の医学・医療ではきわめて限定的な状況を除いてウイルスを封じ込めることは難しく,その影響を完全にコントロールすることもできない。
しかしその一方,さまざまな対策を組み合わせることで被害を最小限に抑えることが可能なことも,各国で検討されている疫学モデルで示唆されている。幸いに新型インフルエンザ対策の基本予測される事態と被害想定して,スペインインフルエンザの時代にはなかったワクチンや抗ウイルス薬,公衆衛生上の対策に関する科学的根拠を私たちは持っている。
パンデミックでは他地域からの援助は期待できない
これらの対策を流行が起きてから考えても遅い。また従来のインフルエンザから想像できるように,地震や台風などの局所的災害とは違って,その社会的影響は同時に多発的に起こると考えられるので,各地域でさまざまな対策を立案および実行する必要がある。地域ごとの十分な事前準備と社会全体の協力が,被害を最小限に抑えるためには必須である。
アメリカの国家防衛的発想の戦略
虫明(NHK報道局科学文化部記者)
アメリカの場合は,2005年から国家安全保障上の問題として,年間約9000億円の特別予算を投入し,パンデミック対策を開始しました。政府が危機管理の問題として新型インフルエンザ対策をとらえたかどうかの違いがいちばん大きかったと思います。
インフルエンザの未来予測は難しい
押谷(東北大学大学院医学系研究科 微生物学分野教授)
日本での初発例が過疎地のような限られたシナリオなら別ですが,一度国内に入ってしまえば封じ込めは難しく,感染拡大は避けられません。
押谷
最後にもうひとつ,パンデミック時にコミュニティでの対応をうまく機能させるためには,新型インフルエンザについて国民に正しく理解してもらう必要があります。
虫明
情報の出し方を間違えると,心理的なパニックを引き起こしかねませんね。
川名(防衛医科大学校 内科学講座2感染症教授)
地震や津波で起こる被害については想像しやすいですが,「新型インフルエンザが発生したら何が起きるか」というのは,専門家でさえ意見がばらつきます。一定のイメージを最初から共有するのが非常に難しい。
関係リンク(医学界新聞第2812号 2009年01月05日)
http://www.igaku-shoin.co.jp/contents/picture/paper/nwsppr/n2009dir/n2812dir/n2812_01.pdf
http://www.igaku-shoin.co.jp/contents/picture/paper/nwsppr/n2009dir/n2812dir/n2812_02.pdf
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02812_03




