朝日新聞 11/2/08
お年寄りの認知症の進行を遅らせる方法にインターネットの対話ソフトが有効?。そんな研究を京都大学大学院医学研究科の木下彩栄教授(神経内科)のグループが始めた。ネットが見える介護者がそばにいれば自宅で取り組める。15日に京大で開かれる第19回日本老年医学会近畿地方大会で発表する。
研究では、専用カメラを装備したパソコンを使用。ネットの対話ソフト「スカイプ」を使用し、具体的な質問を引き出す質問をし、認知症が進と乏しくなるとされる言語表現の強化を図る。思い出の場所で撮った写真も電子データで送信してもらい、お互いに見ながら会話を進める。
スカイプは03年、ルクセンブルクの会社が開発。世界で9億人超えが利用しているとされる。利用者同士なら通話は無料だが、互いの顔を見るために専用のマイク、ヘッドフォンが必要。
研究は4月から開始。70−80代の男女4人の患者に4−9ヶ月のうちの3ヶ月間、週に1回30分間会話し、1人につき計12回続けた。グループの大学院生保利美也子さん(33)が担当。実験前と実験後に面談して「100から7を引くと?」「知っている野菜の名前を挙げて」などと質問し。認知症の進行具合を点数化した。実験前の4人の平均点は30点満点中18.25点だったが、実験後は22.75点だった。中には18点から29点と大きく上昇した人もいた。一方で、研究に参加しなかった別の患者4人に同様の質問をしたところ、最初の平均点は18点。3ヶ月後は11.75点に下がっていた。
評価方法確立を
遠藤英俊・国立長寿医療センター包括診療部長(老年学)の話
相手の顔を見ながら話をすることや昔の写真を見て回想することは。認知リハビリ効果があるとされ、通話ソフトを使って自宅でもできるのは画期的だ。今後、普遍性を持たせるため、認知症の度合いを測るにはどんな会話やテストが適当か、評価方法を確立していくことが大事だ。
●コメント
ネットを使った映像と音声が認知症の遠隔治療に活用される可能性を示唆したものと思います。いわゆる「脳トレ」は、訓練そのものに付加する要素(人間関係や環境の変化など)が複雑に絡むため、訓練効果の有無を客観的に評価するのが難しいと言えます。その点、この研究では条件の統制がとりやすそうな点がユニークです。また、セッションの頻度が「週に1回30分間会話」というのも注目です。
ライブのビデオ映像はとりわけ興味があります。この研究で用いられた映像の大きさや画質は不明ですが、双方向でお互いのまなざしや表情が容易に認識できれば理想的です。パソコンの画像出力は容易に家庭用大型薄型テレビに出力出来ます。ビデオ画質が良好ならば、訓練効果がグッとあがる可能性もあります。
ライブビデオによる対面コミュニケーションは、遠隔会議システムとして発展しつつあります。シスコ社の企業向けビデオ会議用ツールTelePresenceは等身大の映像で、アイコンタクトなど臨場感豊かなコミュニケーションがとれるといいいます。リアル世界とバーチャル世界の融合が業務分野では実用化しつつあります。システムの紹介とビデオは こちら
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