2009年08月25日

認知症について その3(不安と症状)

このブログで以前書いた関連情報を再掲します。

担当授業「老人・障害者の心理」で大井玄氏(内科医、東大学名誉教授)
の講演を紹介しました。 要約は 
こちら

以上をを参考にポイントをまとめました。

大井先生は
「被害妄想を起した時にも、決して面子をつぶすようなことは言わないし、態度でも示さないことが大切」
「琉球大学の真喜屋浩先生の調査によると、沖縄の老人たちは認知症になっても、周辺症状をほとんど現さない」
とおっしゃっていました。
 
認知症の症状には中心となる症状(「記憶系の障害」や「見当識や判断力の低下」など必ずみられる症状)と周辺症状(個人差が大きく、必ず発現するとは限らない症状)があります。周辺症状の主なものは、幻覚、妄想、はいかい、異食、攻撃行動、虚言、抑うつ、睡眠リズム障害などがあり、介護の現場では重要な中核症状ともいえます。

記憶などの障害は脳の器質的変化に関係があります。つまり脳の実質が生物学的に変化したことが原因であると考えられます。従って中枢神経の変性によるものであり、現時点の技術では症状の大きな改善は困難です。なお、将来的には神経幹細胞を使った再生医療の技術により、脳や脊髄の修復も「夢」ではないといわれています。

一方、周辺症状はストレスや不安などの心理的要因が強く影響すると考えられ、その意味で脳の機能に関係するものです。従って人間関係やコミュニケーションなどの環境的要因によって症状の改善が十分期待できます。

周辺症状を軽減するコツは

その1
とにかく「肯定的対応」を貫く
 (「否定的・批判的対応」や「懲罰的対応」は相手を追い詰めてストレス状態に追い込みます。これでは症状が悪化して当然です)
そしいて「信頼とコミュニケーション」のチャネルを構築する

その2
のんびり、安心な環境
(ゆっくりした時間の流れが重要)

その3
丁寧で敬意をもって接する
肯定的対応(「あれもダメこれもダメ、こうしなさい」の逆パタン)
些細なことでも良い点を見いだしほめる(間違いを指摘してただす逆パタン)

高齢者=短気、ガンコという認識はステレオタイプ的(偏見による決めつけ)です。

一般に高齢者はストレスや不安に対して敏感・繊細となっています。

その主な理由は、体力や記憶力そして気力などが相対的に低下しているのに気がつくからです。これまで平気で出来ていたことが出来なかったり苦労をする現実に気がつきます。心身のパワーが落ちていくのは加齢に伴う自然の変化ですが、それを受容し、たとえば記憶系を補助するメモ帳の活用など、新たなる対応を身につけていくには時間がかかります。

「廃用症候群」は四肢の筋肉の萎縮について使われる用語ですが、20歳の健常者でも骨格筋を使わなければ筋萎縮が起こります(NASAの宇宙飛行士実験)。一方、100歳を超えた方でも、筋肉トレーニングで大腿四頭筋が筋力増強する事実があります。

脳細胞もおそらく類似の性質があると思います。筋細胞より脳細胞のネットワーク(ニューラルネット)の方が遙かに可塑性が高いですから、高齢だとあきらめずに脳を刺激し活性化させることはきわめて大切だと思います。

タグ:医療
posted by ichi3 at 13:20| 東京 雨| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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