リーマンショック(2008年9月)から1年
データでこの1年を検証する企画が毎日新聞に掲載されました。![]()
図1 日米株価トレンドグラフ
「世界の株式市況は回復基調にあるが、今年2月の時価総額の底値28兆6700億ドルから6割の戻しにとどまっている」とまとめています(下記の記事)。
1929年大恐慌時の株価パタンは こちら![]()
図2 GDP,投入した公的資金、日米欧の失業者数、金融業界の再編パタン、危機の連鎖構造
「恐慌寸前から政策総動員」と下記記事のサブタイトルにありますが、資本主義経済に国家が直接的かつ大規模に介入し続ける現状の今後は矛盾そのものであり予断を許さないと思います。生活レベルでは「ジョブレスリカバリー」が最大の問題と感じます。
毎日新聞の特集記事は5つの視点から検証しています。
ニュースナビ:リーマン・ショック1年 夜は、なお長きや
<NEWS NAVIGATOR>
毎日新聞 9月15日
■NAVI1・雇用は
◇日米英欧で1000万人失職
「寝る場所だけでもなんとかしてほしい」。昨年末から今年初め、東京都心の日比谷公園に突如出現した「年越し派遣村」。官庁や大企業の本社ビルに囲まれた一角に、仕事と住まいを失った派遣労働者の切実な声が響いた。
震源地となった米国の失業率は、今年8月に9・7%を記録。米連邦準備制度理事会(FRB)は、最悪の場合年内に10%の大台を突破すると予想する。
欧州も9・5%(7月)となり、リーマン・ショック前から2ポイント近く上昇。日本も今年7月の完全失業率が5・7%と過去最悪を記録。企業が潜在的に抱える失業者は607万人に達していると見込まれている。
成長率も軒並みマイナスとなっている。米英欧の国内総生産(GDP)は、09年1〜3月期に年率換算で前期比マイナス6・4%〜マイナス10%台に落ち込んだ。日本も、08年10〜12月期に同マイナス12・8%と大幅なマイナス成長に落ち込み、外需依存体質の弱さを露呈した。
足元の成長率は改善しつつあるが、各国政府の大規模な経済対策に支えられている側面が大きく、回復の足取りは弱いままだ。
■NAVI2・株価は
◇世界不況、720兆円消滅
米国発の金融危機は各国の株式市場を直撃。08年9月29日、ニューヨーク市場でダウ工業株30種平均は777・68ドル安と史上最大の下落を記録。公的資金で不良資産を買い取る金融安定化法案が米下院で否決されたのを機に市場では一時、パニック的な投げ売りが広がった。
輸出企業の米国市場への依存度が高い中国にも株安が波及。投機マネーの流出は商品市況にも飛び火し、原油など資源価格の下落でロシア、ブラジルなど資源国でも株安が進んだ。金融市場の混乱を反映して野村ホールディングスの09年3月期決算は過去最大の7081億円の最終赤字に転落。3メガバンクも株安による保有株式評価損が膨らみ、軒並み最終赤字に。上場企業全体でも前年の最高益から、7年ぶりの赤字に転落した。
◇底打ちの兆しも
国際取引所連合によると09年7月の世界の上場企業の時価総額は約40兆5554億ドルと08年8月から11カ月で8兆ドル(約720兆円)が失われた。世界の株式市況は回復基調にあるが、今年2月の時価総額の底値28兆6700億ドルから6割の戻しにとどまっている。
◇米は30兆円 主要国、財政赤字拡大
3月14日にロンドン近郊で開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議。日経平均株価が7000円割れ寸前まで落ち込むなど各国で株価が暴落する中、各国が景気の底割れ回避策を話し合った。しかし会議は、景気対策の財政出動を巡り、米欧が鋭く対立した。
昨年9月のリーマン破綻以降、各国は金融機関の連鎖破綻を防ぐため、巨額の公的資金を金融機関に投入。米3300億ドル(30兆円)、仏400億ユーロ(5.3兆円)。ドイツも資金枠で5000億ユーロ(66兆円)を用意した。
残ったのは巨額の財政赤字だ。経済協力開発機構が今月発表した見通しでは、主要国の09年の財政赤字はGDP比で英国12.8%、米国10.2%、日本7.8%、フランス6.7%。09年の先進7カ国の財政赤字額は約220兆円と危機前の07年の4倍に拡大する見通しだ。財政赤字の拡大は、長期金利の上昇を招きかねず、危機対応での財政出動が、新たな危機を招きかねないジレンマを抱えている。
■NAVI4・業界再編は
◇米証券大手も消滅
米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題が表面化した07年下半期(7〜12月)から世界の金融機関の金融危機関連損失の総額は約1兆6000億ドル(約144兆円)。うちリーマンが破綻した08年下半期以降の損失は9200億ドルに上った。
金融業界は根底から揺さぶられた。米証券4位のリーマン破綻と同時に3位メリルリンチが米銀大手バンク・オブ・アメリカに身売りした。メリルのジョン・セインCEO(最高経営責任者)は会見で「予想もしなかった結末」と肩を落とした。
首位ゴールドマン・サックスと2位モルガン・スタンレーは資金繰りに窮し、預金を集められる銀行持ち株会社に転換した。08年3月には5位のベア・スターンズが米銀大手JPモルガン・チェースに身売りしており、サブプライム関連投資で主役だった米証券専業大手が消滅した。
再編は日本にも波及した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)はモルガン・スタンレーに90億ドル出資。新生銀行とあおぞら銀行は10年10月の合併を決めた。一方、三井住友FGは米金融大手シティグループから日興コーディアル証券を買収し、日本の業界勢力図も塗り替わりつつある。
■NAVI5・経過は
◇恐慌寸前から政策総動員
リーマン・ブラザーズ救済策の協議に、米当局や金融機関の首脳がニューヨーク連邦準備銀行に集まったのは08年9月12日夜。リーマンの株価はこの日までの4日間で80%急落。米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)関連で巨額損失を計上し増資交渉も失敗。自力再建は絶望視されていた。だが、ポールソン財務長官(当時)は、「公的支援をするつもりはない」と明言。リーマンは15日、米史上最大の負債6130億ドルを抱え米連邦破産法11条の適用を申請した。
だが、米政府の対応に、市場では「場当たり的」との不信が広がった。米欧の短期金融市場では、金融機関の資金繰りが逼迫(ひっぱく)。金融機関の経営不安は欧州にも飛び火し、「リーマン・ショック」は世界に波及した。
抜本対策を迫られた米政府は、金融機関に最大7000億ドルの公的資金を投入する金融安定化法案を策定。だが、世論の反発は強く、下院は9月29日に法案を否決した。市場はパニックに陥り、世界経済は一時、「金融恐慌」寸前まで追い込まれた。
金融安定化法案は修正の末、10月3日に成立。10日にワシントンで開いた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は金融機関への資本注入で合意。11月には日米欧と中国などを加えた主要20カ国・地域(G20)が初の金融サミットをワシントンで開き、政策総動員を確認した。
12月には米連邦準備制度理事会(FRB)が初の事実上のゼロ金利政策を導入し、日銀も政策金利を年0・1%に引き下げた。利下げ余地がなくなっても、長期国債の買い取りなどで市場に大量の資金供給を続けた。09年1月に発足した米オバマ政権は大型景気対策を発動し、日欧も財政出動を積極化した。
金融市場の動揺はなかなか収まらなかった。シティグループの株価は一時、1ドル台まで落ち込み、米政府は追加支援で事実上の政府管理下に置くことを余儀なくされた。
市場が落ち着きを取り戻したのは今春以降。米当局は5月、米金融大手19社に対する特別検査の結果を発表し、うち10社に総額746億ドルの資本増強を求めたが、市場の想定の範囲に収まった。
危機は自動車産業も直撃し、4月にクライスラー、6月にゼネラル・モーターズ(GM)が米連邦破産法11条の適用を申請し、米ビッグスリー(自動車大手3社)のうち2社が破綻に追い込まれた。ただ、市場では織り込み済みとして大きな混乱はなかった。
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この特集は木村旬、田畑悦郎、井出晋平、清水憲司、斉藤望、小倉祥徳が担当しました。
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