2009年10月29日

関門海峡自衛艦衝突事故2009

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関門海峡で2009年10月27日夜発生した自衛艦とコンテナ船の事故の速報です。海上交通センターの役割と権限の点でも注目です。なお、右の写真は下関の「海峡ゆめタワー」から筆者撮影。

海自護衛艦衝突:関門海峡で韓国コンテナ船と 双方で火災
毎日新聞 10月29日(第一報)
27日午後7時56分ごろ、北九州市門司区と山口県下関市の間の関門海峡で、西に向かっていた海上自衛隊の護衛艦「くらま」(柏原正俊艦長、5200トン)と、東に向かっていた韓国船籍のコンテナ船「カリナスター」(7401トン)が衝突し、双方で火災が発生。コンテナ船は間もなく鎮火した。第7管区海上保安本部は業務上過失往来危険容疑も視野に、事故当時の状況を詳しく調べる。

 くらまの乗員297人のうち見張り員3人が軽傷を負い、コンテナ船の乗員16人(韓国人12人、ミャンマー人4人)にけがはないという。
 衝突現場は関門橋の東側で、くらまの艦首部分とコンテナ船の右舷前方がぶつかった。くらまは艦首が大破し、ペンキ缶などを入れた倉庫付近が炎上。コンテナ船は船首の右に穴が開き、積み荷から出火した。くらまは艦内に弾薬庫があるが、延焼は免れた。
 事故当時は晴れて風は弱く、視界は3〜4キロ。同海峡は右側通行で、両船とも進行方向右側に回避する決まりになっており、7管は双方の乗員から事情を聴いている。
 コンテナ船は午後8時22分に自力で消火。くらまは現場近くに停泊し、門司海上保安部などが消火に当たった。7管は午後8時に関門航路を閉鎖し、段階的に再開した。
 海上自衛隊佐世保地方総監部などによると、くらまは25日に神奈川県相模湾沖であった海自の「観艦式」に参加。26日午後0時21分に海自横須賀基地を出港し、28日に佐世保基地に帰港予定だった。観艦式では、菅直人・副総理が乗艦した。
 コンテナ船は韓国・釜山港から大阪に向かう途中だったという。
 くらまは91年5月にも、山口県沖の伊予灘でタンカーと接触事故を起こした。82年10月には長崎県佐世保市の赤崎岸壁で、燃料の入れ替え作業後に爆発事故を起こしている。【木村哲人、佐藤敬一】 
 【ことば】▽くらま▽ 1979年に進水したヘリコプター搭載型護衛艦。全長159メートルで排水量5200トン。これまでテロ対策特別法に基づくインド洋派遣などを行ってきた。海上自衛隊の第2護衛隊群(佐世保基地)に所属する。



韓国船船長「前の船追い越そうと護衛艦と衝突」
読売新聞 10月28日
関門海峡で27日夜、海上自衛隊の護衛艦「くらま」(艦長・柏原正俊1佐)と韓国のコンテナ船「カリナ・スター」が衝突した事故で、海上保安庁の運用管制官がコンテナ船に前の船舶を追い越すよう指示を出し、その後、コンテナ船が追い越しをしている最中にくらまと衝突していたことが分かった。
 また、第7管区海上保安本部(北九州市)は、業務上過失往来危険容疑などで両船の捜索令状を取り、28日午前から捜索を始めた。
 コンテナ船「カリナ・スター」の運航会社である東暎海運(本社・ソウル)の担当者は28日、「船長からは、前の船を追い越そうとした際、(関門海峡の)航行管制所から、(通常取るべき航路の)右側でなく左側から追い越すよう指示され、左側から追い越そうとした最中に衝突した、との報告を受けている」と話した。
 関門海峡を通行する船舶への情報提供などは、海上保安庁の関門海峡海上交通センターが行っている。海保幹部は「センターの運用管制官が、指示を出したのは事実だが、それが適切だったかどうかは現在、確認中だ」と話した。
 防衛省や海保によると、現場は東から西に向かって緩やかな潮流があり、コンテナ船が左に出た際に、潮流の影響で戻りきれず、右船首部分が前から来たくらまと衝突した可能性があるという。コンテナ船は右舷の船首から5〜6メートルの場所に大きな損傷があった。
 一方、くらまの柏原艦長は、衝突直前に海保から「民間船が近づいている」との連絡を受け、艦首付近の隊員に退避命令を出していた。柏原艦長は「停止のために逆進をかけたが間に合わなかった」と話しているという。北沢防衛相が28日の会見で明らかにした。
 くらまは事故当時、乗組員ほぼ全員が配置につく「総員配置」で、甲板上などにも10人以上の見張り員が配置されていた。
 くらまは事故から10時間以上経過した28日午前6時30分ごろに鎮火したが、乗員1人が足に軽い裂傷を負い、ほかにも5人が煙を吸うなどの軽症。7管は、くらまやコンテナ船の乗組員から詳しく話を聞き、事故の原因などについて調べる。

護衛艦衝突、海保誘導が原因か
読売新聞 10月28日
関門海峡で海上自衛隊佐世保基地所属の護衛艦「くらま」(5200トン)と韓国のコンテナ船「カリナ・スター」(7401トン)が衝突した事故で、海上保安庁と第7管区海上保安本部(北九州)は28日、管制業務を担う関門海峡海上交通センターとコンテナ船の無線交信の状況や、衝突までの航跡などを明らかにした。
 同センターは、くらまとの距離が約2キロの地点でコンテナ船に前方の貨物船を追い越すよう誘導していたが、くらまには衝突直前まで注意を促す交信をしていなかった。
 7管は同センターの誘導が事故につながった可能性もあるとみて、センター側にも事情を聞く方針。
 7管などによると、同センターと貨物船、コンテナ船とのやり取りは衝突の4分前に始まった。同センターは貨物船にコンテナ船が後ろから接近しているため、右側に寄るよう伝え、貨物船は「右側へ寄って左側を追い越させる」と応答した。続いて同センターは、コンテナ船に対し、「貨物船の左舷側を追い抜いてほしい。前方から船(くらま)が来ているので、気をつけてほしい」と告げた。この交信は衝突の約2分前。コンテナ船とくらまとの距離は約2キロで、両船は、12〜14ノット(時速22〜26キロ)の速度で進んでいた。
 コンテナ船は誘導に従い、貨物船の左側を追い抜こうとしてくらまと衝突。同センターは衝突数十秒前に両船に注意を呼びかけたが、間に合わなかったという。7管の野俣光孝次長は記者会見で「情報提供が事故原因になった可能性は否定しない」とする一方、情報提供には法的強制力はないとし、「いつかじを切るか、追い越すかなど最終判断は船長が行う」と述べた。
 神戸商船大の原潔名誉教授(海上交通工学)は「現場は関門海峡の中でも特に潮流が激しく、針路を変えると流される恐れがあるため、追い越す場所としては適切ではない。また、護衛艦にも前方からコンテナ船が接近していることを迅速に伝えるべきだった」と指摘している。


海保側「左を追い抜いて下さい」衝突前、韓国船に伝達
朝日新聞 10月29日
福岡・山口県境の関門海峡で起きた海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国船籍のコンテナ貨物船カリナスターの衝突事故で、海上保安庁の管制機関がコンテナ船に、前を運航していた貨物船を「左から追い越す」よう伝えていたことが28日分かった。第7管区海上保安本部(北九州市)が明らかにした。7管は「管制機関は護衛艦の接近情報も提供した」と説明している。
 情報伝達後、コンテナ船と前方から向かってきた「くらま」が急接近し、管制機関が注意を促した直後に事故が起きたことも判明した。現場の航路は右側通行で、左から追い越すと、向かってくる船に近づくことになる。コンテナ船の運航会社は「管制室から『左を追い越せ』と指示が出た。左に向きを変えたら衝突した」と説明している。
 7管は管制機関の情報提供について「指示や命令ではなく、あくまで助言。援助措置で、従うかどうかは船長の判断」と説明しつつ、「事故原因につながった可能性は否定できない」と話している。
 管制機関は関門海峡海上交通センター(北九州市)。7管の直属組織で、関門海峡を運航する船舶に安全上必要な情報を提供している。
 7管によると、センターとコンテナ船などとのやりとりは事故の約4分前から始まった。まず、コンテナ船が前を進んでいた貨物船に接近したため、貨物船からセンターに「(コンテナ船に)左を追い抜いてもらいたい」との連絡が入った。センターはコンテナ船に「左を追い抜いて下さい。前方から自衛艦が来ているので気をつけて」と情報を提供。「了解」との返事があったという。
 センターはさらに、前方の貨物船に右に寄るよう伝え、「安全と判断した」という。
 その後、コンテナ船と「くらま」が急接近したため、センターは「くらま」に「非常に接近しています。注意を」と呼びかけ、その数十秒後に衝突事故の連絡が入った。
28日に記者会見した北沢俊美防衛相の説明などによると、「くらま」は海峡通過にあたり、乗組員全員が見張りなどにつく「総員配置」の態勢を取り、甲板上にも隊員を置いた。艦長は見張りの隊員らからコンテナ船接近の報告を受けた。海上交通センターからも「近接している船があるが大丈夫か」と連絡が入ったという。艦長は「衝突回避のため急減速の措置をとったが間に合わなかった」と聞き取り調査に説明したという。
 7管は同日、両船を業務上過失往来危険の疑いで現場検証して事故原因の究明に着手し、両船の航海日誌などを押収した。レーダー機器の記録などから詳しい航跡などを分析する方針だ。

海自護衛艦衝突:管制官助言後に衝突 交信が事故誘発か
毎日新聞 10月29日
 海上自衛隊の護衛艦「くらま」(5200トン)と韓国船籍のコンテナ船「カリナスター」(7401トン)が関門海峡で衝突した事故で、「関門海峡海上交通センター」(北九州市)の運用管制官が、カリナスターに前方の貨物船を左側から追い越すよう助言した後、対向の「くらま」と衝突していたことが分かった。第7管区海上保安本部は、交信が事故の一因になった可能性もあるとして管制官から当時の状況について事情聴取する方針。
 7管によると、両船が衝突したのは27日午後7時56分ごろ。その直前、東方向へ移動するコンテナ船の前を、パナマ船籍の貨物船「クイーン オーキッド」(9046トン)が同方向へ航行していた。
 管制官は、両船と衝突約4分前から交信を開始。貨物船に「C号(コンテナ船)が接近している。注意してください」と喚起すると、貨物船は「了解。左側を追い越させます」と応答した。管制官はさらに貨物船に右側へ寄るように告げ、コンテナ船には「貨物船が右側に動いています。左側を追い越してください」と伝えた後、くらまと衝突した。
 事故の直前に、管制官はくらまに「C号が異常に接近しているようです」と交信。くらまは衝突後、「接触しました」と報告した。
 「関門海峡海上交通センター」は7管の下部組織で、海峡を通過する船舶に安全情報を提供している。7管の野俣光孝次長は28日夕の会見で、管制官との交信が事故原因となった可能性を認めたうえで「(管制官の行為は)情報提供であり、法的にも指示する権限はセンターにない。従う義務もなく、追い越すかどうかは船長の判断」と説明した。一方、過失の有無については「捜査の進展があるので、価値判断するのは適切ではない」と述べるにとどめた。【木村哲人、河津啓介】


 

タグ:船舶事故
posted by ichi3 at 02:32| 東京 曇り| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
護衛艦:大穴、大破相次ぐ 艦首、意外な弱点 塗料庫近く鎮火手間取る
毎日新聞 2009年12月6日
 4日午前に高知県の足摺岬南方の海上で海上自衛隊の護衛艦同士が接触した事故で、「さわぎり」(3550トン)の艦首部分に大きな穴が開いた。10月下旬には関門海峡でコンテナ船と衝突した護衛艦「くらま」(5200トン)も、艦首部分が衝撃で折れ曲がり、火災の鎮火にも手間取った。自衛艦なのに大丈夫なのか?【樋岡徹也】

 くらまは狭い関門海峡で貨物船を追い越そうとした韓国船籍のコンテナ船「カリナスター」(7401トン)と衝突。艦首部分は下向きに折れ曲がり、原形をとどめないほど。そこから出火し、地元消防などが必死に消火作業をしたが、鎮火まで10時間半もかかった。

 実戦だったら、と考えると空恐ろしい光景だが、海自幹部はこう説明する。「現代の艦船の主眼は、まず攻撃を受けないことにあり、仮に攻撃されても沈まないこと」

 現代戦は船体をぶつけて敵の船に乗り込むような接近戦を想定していない。遠距離から発射されるミサイルに対応するためレーダーで軌道を追尾、迎撃することに重点を置く。もし被弾しても、船の造りを細かい区画に分けておくことでダメージを小さくすることができるという。

 そのうえで、艦首について海自幹部は「高速性重視で軽量化・鋭角化し、エンジンなど重要部品が集まる中央部、かじやスクリューのある艦尾に比べ強くない」と説明する。

 衝突そのものが想定外ということか。では、くらまはなぜ長々と炎上したのか。

 海自トップの赤星慶治・海上幕僚長は事故後の会見で「衝突部分の近くにペイント庫があり、ペンキ缶を保管している。そこが一つの原因かなと思われる」と語った。

 船体の腐食防止を兼ね、船には一般に塗料が塗られているが、くらまの場合、ペンキやシンナーを保管するペイント庫が艦首の近くにあった。そばには、いかりを操作する装置の配線もあり、衝突で切れて火花が飛び、ペンキなどに引火した可能性もあるという。

 艦首部分に可燃物を保管していたことに疑問の声もあるが、海自幹部は「エンジンや戦闘指揮所、武器弾薬など大事なものを中央部や艦尾部から順番に置いているので、ペイント庫は基本的に艦首部の甲板付近になってしまう」と漏らす。ペイント庫の約20メートル後方には弾薬庫があったが、なんとか延焼は免れた。
Posted by ichi3 at 2009年12月06日 17:17
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