2013年04月13日

ネット依存は我々をバカに導くか?

スマートフォンの普及と「グーグル依存症」は密接な関係がありそうだ、と感じている人は多いと思います。アメリカでは2011年に心理学者が実験で検証した、という記事がアエラに掲載されています。前半に記憶障害に悩むエピソードが紹介されていますが、これはグーグル依存と関係するかはわかりません。「若年性健忘」と呼ばれる症状に近そうですが、これは機械的に受動的行動パタンを繰りかえすことにより起こるといわれます。我々の生活環境がハイテク化されると誘発されます。グーグルはネット依存の拡大再生産するチャンスを増やしていると思います。 

グーグルでバカになる脳 なんでも検索、頭は空っぽ
2013年04月08日
週刊アエラ
 拝啓、親愛なる検索エンジン様。あなたがあんまり賢いものだから、私たちは記憶力も思考力も衰えていきます。
 どうしたらいいでしょうか。教えてください。
 
 俺って、こんなにバカじゃなかったはずなんだけど。
 暑中見舞いを出そうと、「猛暑の折」と書きかけて、「暑」の漢字が思い出せなかったことがある。プレゼンの場で、ホワイトボードに英語で「インテリジェンス」と書こうとしたら、語尾のつづりが思い出せない−−都内のIT企業で働く35歳の男性会社員は最近、著しい記憶力の低下に悩まされている。
  「暗記力には自信があるほうだったんですよ。大学受験のときは世界史の模試で全国10番以内に入るほど、固有名詞や年号を覚えるのが得意でした。ところが、最近は過去に覚えた物事はもちろん、つい昨日、買って読んだばかりの本の著者名すら、すぐ忘れてしまうんです」
 
 ●首相の名前も忘れる
 認めたくはないが、着実に自分はバカになりつつある。そう言う彼は、決して知的好奇心のない人間ではない。仕事の合間や通勤時間に、経済ニュースから芸能人のブログ、話題になったツイートのまとめなどに目を通している。科学ニュースなどで耳慣れない言葉があったら、そのままにせず、すぐに検索。スマートフォンのグーグル検索窓には、1日に50以上のキーワードを入力している。
  でも、実はその「検索漬け」習慣こそが、自分の記憶力を低下させている原因ではないかとこの男性は疑っている。
 「首相のフルネームがとっさに思い出せなくても、ひらがなで『あべ/首相』と入力したら、ウィキペディアの『安倍晋三』のページに誘導してくれる。だから、無意識のうちに漢字や固有名詞をまともに覚えようとしないんだと思うんです。俺がバカなんじゃない。グーグル先生が親切すぎるのがいけないんだ。グーグルのバカッ。いやバカじゃなくて俺より全然賢いんだけど……」
  この男性の言葉はあながち、八つ当たりと言えないかもしれない。米コロンビア大学の心理学者ベッツィー・スパロウ氏は2011年、「グーグルが記憶に及ぼす影響」と題する論文を発表した。被験者にある文章を読ませ、後でその内容をどれほど覚えているかテストしたところ、「その文章が後でネットなどで確認できる」と知らされたグループは、そうでないグループに比べて、明らかに成績が悪かったという。要は人間の脳は、自分で覚えなくても誰かに聞けば教えてもらえる事象については、記憶しようとしない、ということだ。
 ●本が最後まで読めない
 「小難しい本を集中して最後まで読めなくなりました。文章を読んで内容を記憶しなくても後でネットで調べればいいや、と思ってしまって。以前は通勤電車のなかで新書を読んでいたのが、今はスマホいじり。明らかにその姿はバカっぽく見えていると思うのですが……」
 と話すのは、出版社勤務の30代女性。私たちの脳はやはり劣化しているのだろうか。
 「電話帳機能がついた携帯電話が普及する前は、家族や恋人、親戚の電話番号を10や20、みな覚えていましたが、今は家族の番号だってあやふやな人が多いでしょう。もしかしたらそのうち、自分の名前を漢字で書けることが、『憂鬱』という字をスラスラ書けることと同じくらい、『すごーい』と言われるようになる日がやってくるかもしれません」
  と言うのは、『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)などの著書がある、ビジネスコンサルタントの細谷功さん。でも、それは必ずしも悪いことではないのかもしれない。文字の発明、図書館の誕生、活版印刷、新聞の普及−−思えば、人類の歴史は、脳内の知識をいかに外部記憶装置に移し、他人と共有し、次世代に残していくか、という課題への挑戦だった。私たちは今、ネットという新しい、膨大な容量を持つ外部記憶装置とつながっていく歴史的な進化の瞬間に立ち会っているのだ。
  『自分はバカかもしれないと思ったときに読む本』(河出書房新社)などの著書があるサイエンス作家の竹内薫さんは、
 「人間の脳に閉じこめておける情報の量には限界がある。自分の脳が単なるCPUに成り下がってしまうのが寂しい、怖いという気持ちは理解できますが、ネットを脳の延長、外部記憶装置と考えれば、検索エンジンを使ってそれをフル活用するのが現代人の当然の知恵、と言えるでしょう」
 と言う。漢字が書けなくなっても、それは退化ではない。文字がなく、すべてが口伝だった時代に比べれば、私たちの記憶力は明らかに低下しているだろうし、実際、ソクラテスは文字に頼ることで、人々の記憶力が衰えると憂慮したと言われているが、現代人で文字を否定する人はいないだろう。
  「ただ、記憶力がまったく重視されなくなるとは思いません。どんなにオートマチック車が便利でも、マニュアル車を運転することがかっこいいように、脳内にさまざまな知識を蓄えた人はやはり尊敬され続けると思います」(竹内さん)
 
 ●「なにしら」で検索
 グーグルは先生ではなく、人間の思考を手助けする忠実なる下僕。漢字や単語のスペリングなどの単純知識は、人間様の頭脳に記憶する必要はなく、電話番号同様、下僕に覚えさせておけばいいのだ。
  ただ、ときどき、従僕であるはずの検索エンジンが自分に成り代わって思考の主となっているような、奇妙な感覚にとらわれるときがある。日がな一日、スマホに向かってキーワードを打ち込み、示された検索候補をクリックし続けているうちに、そもそも何を調べようとしていたのかよく忘れる−−というのは筆者のことだが、同種のおバカさんは意外にたくさんいるようだ。グーグルで「なにしら」と入力すると、「何調べようとしたんだっけ」「何調べるか忘れた」などという検索候補が出るのだ。それはグーグル先生に聞いてもわからないでしょう!
 ●ネット断食で回復
 検索エンジンの便利さの前に思考停止している、これが本当の「グーグルバカ」である。多いときは1日15時間以上、ネットに向かっていたという男子大学生(21)は言う。
 「気が付いたら、グーグルの導くままに人のブログを読んで影響を受け、アマゾンに推薦された本を購入し、フェイスブックで薦められた人と友達になり……『自分』がネットに乗っ取られているような気がして、あるときふと、ものすごい恐怖を感じました」
  彼は「ネット断食」をするために、スマホもノートPCも自宅に置いて、1カ月間、国内を放浪したという。最初のうちは、放置したツイッターが気になって、Wi−Fiスポットを見つけるたびに、「ネットにつながりたい」という飢えにも似た気持ちを抑えた。でも、ネットから自らを遮断したことで、これまですべて「Yahoo!知恵袋」で聞いていたような疑問、たとえば「次の電車に乗り継ぐにはどうしたらいいか」「今の季節、東北はウインドブレーカーだけで寒くないか」を地域の人に聞き、自分の頭で考えて判断する経験ができた。「奪われていた思考力を取り戻せた気がします」という。
  「グーグルは世界最先端の技術を持った集団。かつての蒸気機関などがそうであったように、『最先端』は科学者にとっては探究の対象になりますが、その他の多くの人にとっては恐怖の対象になるのでしょう」
 と前出の竹内さん。さらに、これからの世界は、グーグルのような一部の「情報の作り手」と、ただ膨大な情報を、しかもしばしば操作された情報のみを与えられて、グーグルに儲けさせるだけの人々に分かれるだろうと指摘する。
  「後者にならないためには、数学と英語を勉強すること。アルゴリズムを理解し、日本語の検索では出てこない英語の元サイトに当たる力が必要です」
 何より、グーグルは既知の問題を解決してくれるが、未知の問題を発見してはくれない。やっぱり、バカじゃだめなのだ。
 (編集部 甲斐さやか)
ラベル:ネット 依存 記憶
posted by ichi3 at 02:04| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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