2019年04月18日

JRオーバーラン頻発の背景

JR東、西で列車のオーバーランが続発しています。「勘違い」や「睡魔」との関連が報じられていますが、これらのインシデントは田中龍作ジャーナルが報じるように、重大事故の前兆である可能性があります。その背景にJRの労務管理体制があると推測できます。
JR東は『2020年4月に実施する考え。これまで車掌や運転士への登用に必要だった社内の試験もやめて、通常の人事異動で配置する。人手不足への対応のため、JR発足以来初めての抜本改革で、柔軟な人員配置を実現する狙い。3月末、社員に提示したが反発も出ている』、と毎日新聞が報じていますが、プロフェッショナル・スキルが育成されず、現場の状況がいっそう不安定になる不安があります。


新快速、彦根駅を800メートル通り過ぎる 運転士「勘違い」
毎日新聞 2019年4月17日
https://mainichi.jp/articles/20190417/k00/00m/040/268000c
 17日午後1時50分ごろ、JR東海道線の彦根駅(滋賀県彦根市)で、姫路発近江塩津行きの上り新快速電車(12両編成)が停止位置を約800メートル過ぎて急停止するトラブルがあった。乗客約300人にけがはなかった。
 JR西日本によると、車掌が非常ブレーキをかけ、駅近くの踏切内で止まった。停止位置に戻ると踏切の故障につながる恐れがあるとして、電車は次の米原駅まで進んだ。運転士は「通過駅だと勘違いした。若干の眠気があったが、居眠りはしていない」と話しているという。
 彦根駅ではオーバーランのため約20人が乗車できず、降車予定だった約90人は米原駅から折り返した。【山田毅】

JR柏駅で240mオーバーラン 「睡魔に襲われた」
朝日新聞 2019年4月13日
https://digital.asahi.com/articles/ASM4F4D56M4FUTIL007.html
13日午前8時前、JR常磐線の上野発取手行き快速列車が、千葉県柏市のJR柏駅で停車位置を約240メートルオーバーランして停車した。JR東日本東京支社によると、運転士は「一時的に睡魔に襲われた」と話しており、同社は居眠り運転の可能性があるとみて原因を調べている。
 列車が止まらなかったため、車掌が非常ブレーキをかけるなどして停車した。列車はバックして本来の停車位置に戻り、5分遅れで運転を再開したという。
 同社では、運転士の体調を乗務前に上司と対面して確認しているという。同社は「お客様にご迷惑をおかけし、大変申し訳ない」としている。

【大事故の前兆】JR東日本の合理化と労働強化、睡魔でオーバーラン多発
田中龍作ジャーナル
2019年4月11日
http://tanakaryusaku.jp/2019/04/00019948
 乗客乗員107名の命を奪ったJR福知山線の大事故(2005年)が再び起きるのではないか・・・悪夢がJR東日本の乗務員を苛んでいる。合理化による労働強化のため、疲労した運転士が睡魔に襲われながらハンドルを握っているというのだ。

 大事故には前兆がつきものなのだが、それがJR東日本管内で多発している。典型はオーバーランだ。

 ここ一か月で起きたオーバーランは、表に出ただけでも以下の通り。あくまでも氷山の一角だ。

・3月14日 外房線 八積駅 ホームから20m外れた。
・3月19日 成田線 酒々井駅 所定停止位置から220m行き過ぎ。
・3月20日 常磐線「特急ときわ」 日暮里駅 所定停止位置から260m行き過ぎ。
・3月22日 武蔵野線 東松戸駅 所定停止位置から40m行き過ぎ。

 JR東日本の管内では、表に出ただけで一週間に一回以上、オーバーランが起きていることになる。オーバーランは大事故の予兆と言ってもよい。オーバーランを起こした運転士はたいがい「睡魔に襲われた」と打ち明ける。

 福知山線の事故では、列車が直前にオーバーランを起こしていた。

 大事故につながるトラブルが多発する原因は合理化がもたらす乗務員の労働強化だ。3月のダイヤ改正に伴う合理化により東京支社だけで、ちょうど100名の乗務員が削減されたという。

従業員が削減されれば、一人当たりの作業量は当然増える。わかり易いように山手線の例をとってみよう。

 かつては1人=1日5周だったのが、3月16日のダイヤ改正後は6周となった。乗務員たちは「キツイ」ともらす。

 昨年2月頃からは、詰め所と呼ばれる乗務員たちの休憩室に会社側の監視カメラが置かれるようになった。心身を休める場所なのに、当局から見張られるのである。

 「緊張状態が続くと肝心な時に集中できなくなる」。ベテラン運転士は指摘する。睡魔に加えてストレスにも見舞われるのだ。
 
 合理化、労働強化に「組合潰し」は避けて通れない。組合潰しが始まる昨年2月以前には4万6千人いた組合員が、現在1万2千人。1年間で4分の1にまで減ったのである。会社側は脱退と主張する。

 会社側はアメと鞭で組合員に脱退を迫った。アメは「脱退すれば転勤の願いをかなえてやる」。鞭は「脱退しないと仕事をつけないぞ」などだ。

アメも甘くはない。昨年11月12日から12月14日までの約1ヵ月間、希望の部署でのインターンシップ研修があった。都内の運輸区に所属していた28歳の車掌(女性)は総務部人事課で研修を受けた。職種がなじまなかったのか。うつ状態となり12月下旬から休職状態となった。

 彼女は今年3月11日、復職を目指して管理職と面談するため運輸区に出社した。管理職2人との面談を終え、車掌の仲間には「復職します」と宣言していた。

 明るく職場の人気者だった彼女は「カナちゃん(仮名)」と呼ばれ職場の人気者だった。元気な様子だったので同僚たちも安心していた。それからわずか2日後、彼女は自宅で死亡した。会社の発表は病死だった。

 「つい2日前まで元気だったのに・・・」誰もが病死の発表に首を傾げた。

 JR東日本では「新たなジョブローテーション」と称して運転士と車掌と駅員の区別をなくす。それぞれまったく別物のスキルだ。乗客数千人の命を預かって黙々と列車を動かす運転士に車内アナウンスの能力など必要ない。

 多種の仕事をこなさなければならなくなると、一つの仕事がおろそかになる。運転士がそうなると、乗客の安全がおろそかになる。危険である。安全性を二の次にした「新たなジョブローテーション」は、来年4月実施予定という。あまりに性急ではないだろうか。

 経営側が英語をまじえたネーミングで職場改革を持ち出してくる時は、必ずといってよいほど、合理化と労働強化が潜む。

 雇用を守らなければ、我々国民の足であるJRの安全性が危うくなる。


JR東日本、運転士と車掌の名称廃止へ 社員に反発も
毎日新聞2019年4月5日
https://mainichi.jp/articles/20190405/k00/00m/040/026000c
 JR東日本が「運転士」と「車掌」の名称を廃止し、「乗務係」や「乗務指導係」などに変更する方針を固めたことが4日、同社関係者への取材で分かった。2020年4月に実施する考え。これまで車掌や運転士への登用に必要だった社内の試験もやめて、通常の人事異動で配置する。人手不足への対応のため、JR発足以来初めての抜本改革で、柔軟な人員配置を実現する狙い。3月末、社員に提示したが反発も出ている。
 新制度で社内試験がなくなると、駅員を経て、「乗務係」や「乗務指導係」「乗務主任」などに配置され、従来の車掌や運転士業務を担う。(共同)
posted by ichi3 at 12:59| 東京 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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