船内の燃料油は回収が完了したとされますが、流出した油による環境破壊は『現場は美しかった砂浜と色鮮やかだったサンゴ礁で、固有の貴重な野生生物の宝庫。大切に保護されてきた湿原も広がる。静かな内海にマングローブの林が揺れる環境にとって、未曽有の災害となった』(時事通信)と取り返しのつかない状態です。
環境破壊阻止、時間との闘い ボランティア、ヘドロまみれ―モーリシャス
時事通信 2020年08月12日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020081200222&g=int
【ポートルイスAFP時事】インド洋の島国モーリシャスがボランティア総出で環境破壊と闘っている。座礁した日本の貨物船から流れ出る燃料を食い止めるため数千人が連日、全身をヘドロまみれにしてきた。広大な海岸やサンゴ礁を守るオイルフェンスはフランスからの支援を待つ。今は麦わらで急造した「防護壁」で、貴重な自然を守るため時間との闘いを続けている。
現場入りした学生は10日、取材に対し「私たちの自然環境がどんどん壊されている。手を貸したい。友人たちと来た」と語った。サンゴ礁のみならず「海を中心に環境全体が影響を受けている。つまり、大きな被害を受けているのは、私たちそのものだ」と訴えた。
国連の専門家チームも11日、現地入りした。モーリシャスの国連事務所は声明を出し「自然と住民の被害を軽減する努力を支援したい」と表明している。
モーリシャス大学の環境保護の専門家、バシスト・シーゴビン教授は、燃料の流出量が少しずつ減ってはいるとみている。しかし「流出は今なお続いている」と強調。「厳戒態勢は続けなければいけない」と呼び掛けた。
警察は11日、インド出身の船長をはじめ船員数人に対し事情聴取を行った。なぜモーリシャスの海岸にこれほど近づいたのかが、座礁の原因究明の焦点とみられている。捜査関係者は「南アフリカの専門家たちが、運航情報を記録したブラックボックスの解析を試みる。すべてはその結果次第だ」と語った。捜査班が9日、座礁船に乗り込み、日誌などを押収したとみられている。
現場は美しかった砂浜と色鮮やかだったサンゴ礁で、固有の貴重な野生生物の宝庫。大切に保護されてきた湿原も広がる。静かな内海にマングローブの林が揺れる環境にとって、未曽有の災害となった。
ジャグナット首相は7日、ツイッターを通じ「緊急の環境非常事態を宣言した」と発表した。ただ、座礁が起きたのは7月25日で、2週間も何をやっていたのか説明を求める声が強まっており、政府も苦しい立場に追い込まれている。
ラベル:船舶事故