2017年08月18日

米イージス艦とコンテナ船が伊豆沖で衝突 7(米海軍が艦長ら解任発表)

事故に関するアメリカ当局からの情報は乏しいのですが、AFPが『アメリカ海軍は原因は調査中だとする一方、「イージス艦内で重大な過ちがあった」として艦長ら3人の解任を発表』と報じました。イージス艦側に衝突回避の責任があった可能性が示唆されていますが、「原因は調査中」として、事実関係は曖昧なままとなっています。

米イージス艦衝突「艦内で重大な過ち」艦長ら3人解任
NHK 2017年8月18日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170818/k10011103331000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_011
ことし6月、静岡県沖でアメリカ海軍のイージス艦とコンテナ船が衝突した事故で、アメリカ海軍は原因は調査中だとする一方、「イージス艦内で重大な過ちがあった」として
艦長ら3人の解任を発表しました。
ことし6月、静岡県の伊豆半島沖でアメリカ海軍横須賀基地に配備されているイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」とフィリピン船籍のコンテナ船が衝突し、イージス艦の乗組員7人が死亡しました。
この事故でアメリカ海軍は17日、「イージス艦内で重大な過ちがあった」として艦長や副艦長などイージス艦の責任者3人の解任を発表しました。
アメリカ海軍は事故の原因は現在も調査中だとしてイージス艦にどれだけ責任があるのかについては明言を避ける一方、艦長ら3人のイージス艦を率いる能力に対する信頼が失われたのは明らかだと説明しています。
アメリカ海軍はさらに、周囲の監視に問題があったとして艦の見張りを担当していた乗組員なども処分する方針です。
アメリカ海軍がこの日公表した事故の報告書では、コンテナ船がイージス艦の右側側面に衝突して大きな穴があき、水が一気に艦内に入り込んだため一部の区画では寝ていた乗組員が逃げる時間がほとんどなかったなどと当時の状況が記されています。


伊豆半島沖のイージス艦衝突で十数人処分、艦長を解任へ 米海軍
AFP 2017年08月18日
http://www.afpbb.com/articles/-/3139582?cx_part=txt_topics
ことし6月、静岡県沖でアメリカ海軍のイージス艦とコンテナ船が衝突した事故で、アメリカ海軍は原因は調査中だとする一方、「イージス艦内で重大な過ちがあった」として艦長ら3人の解任を発表しました。
ことし6月、静岡県の伊豆半島沖でアメリカ海軍横須賀基地に配備されているイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」とフィリピン船籍のコンテナ船が衝突し、イージス艦の乗組員7人が死亡しました。
この事故でアメリカ海軍は17日、「イージス艦内で重大な過ちがあった」として艦長や副艦長などイージス艦の責任者3人の解任を発表しました。
アメリカ海軍は事故の原因は現在も調査中だとしてイージス艦にどれだけ責任があるのかについては明言を避ける一方、艦長ら3人のイージス艦を率いる能力に対する信頼が失われたのは明らかだと説明しています。
アメリカ海軍はさらに、周囲の監視に問題があったとして艦の見張りを担当していた乗組員なども処分する方針です。
アメリカ海軍がこの日公表した事故の報告書では、コンテナ船がイージス艦の右側側面に衝突して大きな穴があき、水が一気に艦内に入り込んだため一部の区画では寝ていた乗組員が逃げる時間がほとんどなかったなどと当時の状況が記されています。

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2017年08月10日

北朝鮮を巡る戦争挑発報道が乱舞する不安

メディアを駆けめぐる情報が我々の不安を増幅しています。
トランプ米大統領が『戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ』(日経新聞)と語ったとの報道があります。これが事実であれば極東での戦争勃発に現実味があります。
また『北朝鮮の兵器開発を受けた軍事行動について支持する人の割合は50%だった』(CNN)と報じました。
さらに、『防衛省によると、航空自衛隊と米空軍は8日、九州周辺の空域で共同訓練を実施し、空自のF2戦闘機2機とグアムから飛来したとみられる米空軍のB1爆撃機2機が参加した』(朝日新聞)、とし日本がアメリカ軍と連携している現実を示しました。
また、『朝鮮中央通信は9日、小野寺五典防衛相が最近、弾道ミサイルなどが発射される前に敵基地をたたく「敵基地攻撃能力」の保有に前向きな姿勢を示したことに反発し、「我々は既に、日本列島ごときは決心すれば瞬時に焦土化できる能力を備えた」と警告した』(朝日新聞)と日本への攻撃を公言しています。
アメリカにとって朝鮮半島や日本列島は遙か極東のローカルな地域ですから、例え核戦争が勃発してもアメリカ本土にとって何ら痛痒はないと考えている不安があります。
日本ではグアムを含む北朝鮮とアメリカとの戦争リスクが報道されていますが、北朝鮮が攻撃態勢にはいると日本は通常兵器のミサイルでも原発が破壊され、日本在住の人々にとって放射線被曝のリスクは致命的です。
そして、日本の沿岸10カ所にある石油備蓄基地も攻撃対象になります。これらの基地は戦争勃発に対しては無防備状態にあります。
したがって、核戦争は言うまでもなく通常兵器による戦争も、外交などあらゆる手段を講じて回避する必要があります。もし開戦したら修復する手だてはほとんど無いのが現実です。


北朝鮮「日本ごとき瞬時に焦土化」 敵基地攻撃能力巡り
朝日新聞 2017年8月9日
http://digital.asahi.com/articles/ASK8956DDK89UHBI01V.html
 朝鮮中央通信は9日、小野寺五典防衛相が最近、弾道ミサイルなどが発射される前に敵基地をたたく「敵基地攻撃能力」の保有に前向きな姿勢を示したことに反発し、「我々は既に、日本列島ごときは決心すれば瞬時に焦土化できる能力を備えた」と警告した。
 同通信は「日本の支配層は北の脅威を騒いで政権の危機から脱出し、自衛隊を合法的に派遣できる口実を設け、アジア諸国への再侵略の野望を実現しようとしている」と非難。「日本の反動層が引き続き偏狭な態度でちょっかいを出すなら、無慈悲な核の強打を免れず、日本列島が太平洋に沈むことになる」と警告した。(ソウル=牧野愛博)


トランプ氏
「北朝鮮に砲火と怒り」攻撃警告

毎日新聞2017年8月9日
https://mainichi.jp/articles/20170809/k00/00e/030/291000c
【ワシントン会川晴之、ソウル米村耕一】トランプ米大統領は8日、核ミサイル開発を加速する北朝鮮が今後も挑発を続けた場合、「世界がこれまで見たことのないような砲火と激烈な怒りに直面することになるだろう」と強く警告した。一方、北朝鮮は新たに米領グアム攻撃の可能性をちらつかせるなど、引き下がる姿勢を見せていない。
 トランプ氏は静養先の米東部ニュージャージー州ベッドミンスターで記者団に、北朝鮮について「これ以上、米国に脅威を与えないことが最善だ」と述べた上で、軍事攻撃を含めた報復の可能性を示唆した。さらに「普通の国の域を超えて脅迫を続けている」として、軍事攻撃の可能性に再び言及。米大統領としては異例の脅迫とも取れる発言で、米メディアからは「前例がない」「緊張をさらに高める」などの指摘が出た。
 一方、北朝鮮の対韓国宣伝サイト「わが民族同士」が9日、朝鮮人民軍戦略軍報道官の8日付声明を公開した。声明は「米国に厳重な警告を送るため、中長距離弾道ミサイル『火星12』によるグアム島周辺の包囲射撃作戦を慎重に検討している」と主張した。
 防衛省によると、航空自衛隊と米空軍は8日、九州周辺の空域で共同訓練を実施し、空自のF2戦闘機2機とグアムから飛来したとみられる米空軍のB1爆撃機2機が参加した。米軍機はその後、朝鮮半島方面に向かい、韓国空軍とも共同訓練を行った。北朝鮮の「グアム攻撃」の威嚇はこれへの反発の可能性がある。


62%が北朝鮮を「脅威」、軍事行動支持は50% CNN世論調査
CNN-JP
https://www.cnn.co.jp/usa/35105561.html
(CNN) 朝鮮半島の緊張が高まるなか、米国民の62%が北朝鮮について脅威と考えていることが9日までに分かった。CNNが行った世論調査で明らかになった。北朝鮮の兵器開発を受けた軍事行動について支持する人の割合は50%だった。
今回の調査では62%が北朝鮮を深刻な脅威と捉えているが、3月の調査結果ではこの割合は48%だった。62%という数字は2000年までさかのぼる世論調査の中で最も高い水準。
77%が、北朝鮮には米国に到達できるであろうミサイルを発射する能力があると考えている。
北朝鮮は7月、2度にわたって大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を行った。ミサイルは条件が整えば米国へ到達する可能性もあるとみられている。
トランプ米大統領の北朝鮮情勢への対応能力については否定的にみる人が多かった。うまく対処できるとは考えてない人の割合は50%。対処できると考える人の割合は37%。13%は分からないとした。
米国民は、北朝鮮を最も脅威を与える国としてみているようだ。イランを深刻な脅威ととらえている割合は33%、中国については20%だった。過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS )」を脅威とみなしている人の割合は64%だった。
北朝鮮の軍事力や兵器が米国にとって脅威となるとの見方は32%にとどまった。
北朝鮮の兵器開発を受けた軍事的行動については見方が分かれた。米国に到達する可能性のある兵器の実験を受け、軍事行動について支持を表明したのは50%だった。43%が軍事行動に反対した。共和党支持の74%が軍事行動に賛成した。無党派で賛成したのは47%。民主党支持で軍事行動に賛成したのは34%だった。
今回の世論調査は8月3日から6日にかけて成人1018人を無作為に選び電話で実施した。
トランプ大統領は8日、ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、これ以上米国を威嚇すれば「炎と怒り」に直面することになると警告した。これに先立ち、米情報当局は、北朝鮮がミサイルに搭載できる小型核弾頭の製造に成功したとの見方を示していた。


米上院議員、対北朝鮮「戦争辞さずとトランプ氏」

日経新聞 2017年8月2日
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM02H02_S7A800C1EAF000/
【ワシントン=共同】グラム上院議員(共和党)は1日、米国を標的とする核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を阻止するため、トランプ大統領が北朝鮮との「戦争」も辞さないと語ったとNBCテレビの番組で明らかにした。
 グラム氏によると、トランプ氏は「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」と話したという。グラム氏は、北朝鮮がICBM開発を続けるなら「軍事力行使は避けられないだろう」と述べた。
 これを受け、サンダース大統領報道官は1日の記者会見で「大統領は北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止する必要性を明確に語ってきた」とだけ説明し、軍事力行使を含む「全ての選択肢」がテーブルの上にあると繰り返した。
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2017年08月07日

東大、東北大教授ら研究論文不正疑惑(post-truthと科学研究の関係)

研究論文のねつ造や改ざんは数多く報道されていますが、東大の渡辺嘉典教授と東北大の井上明久教授のケースは、両教授が日本を代表する最先端研究の「リーダー」とされた点が共通項です。両教授とも論文のねつ造と疑惑とされていますが、本人らはそれら指摘を否定しています。
渡辺教授は『朝日新聞の取材に対し「論文に不適切な画像操作を含む図表が掲載されたことについて調査結果を真摯(しんし)に受け止め、深く反省している。だが、(不正とされた図表は)実験から得られたもので、結論を覆そうとする意図で手を加えたわけではない。論文の結論に変わりはなく、国際的な基準では不正にはあたらない」と話した』と主張していますが「国際的基準では不正にはあたらない」と意味不明ないいわけをしています。
「ポスト真実(post-truth)が自然科学の研究分野にまで押し寄せている事例と思います。科学研究の信頼性を自ら破壊する行為です。政治、経済の分野は世界的レベルで信頼を失墜しています。科学は方法論がしっかりしているハズですが、経済利益優先の思想(新自由主義)と連携し自滅するリスクにさらされいています。

渡辺教授「国際基準では不正にあたらぬ」 論文問題
朝日新聞 2017年8月1日
http://digital.asahi.com/articles/ASK815H5VK81ULBJ00L.html
 東京大学は1日、分子細胞生物学研究所の渡辺嘉典教授らが執筆し、国際科学誌に掲載された論文5本に、画像の捏造(ねつぞう)など研究不正があったとする調査結果をまとめ、発表した。
 発表によると、不正をしたと認定されたのは、生殖細胞の減数分裂の研究で知られる渡辺教授と、研究室にいた丹野悠司元助教。東大科学研究行動規範委員会は、渡辺教授らが執筆した英科学誌ネイチャーなどに掲載された5本の論文で、グラフや画像の捏造が6カ所、改ざんが10カ所あったとし、論文の撤回や修正を勧告する。
 2010年に米科学誌サイエンスに掲載された論文では、実験をしていないのにグラフを作成したとし、規範委は捏造と認定。15年のサイエンスの論文でも、顕微鏡画像を異なる条件で処理して明らかな差があるように見せていたとし、捏造と認めた。不正の背景には渡辺氏の強い指導体制があり、丹野元助教については「犠牲者としての側面も有する」とした。
 東大は今後、渡辺教授の過去の論文もさかのぼって調べ、処分を検討する。東大によると、渡辺教授の研究室には国などから14億8千万円の研究費が投じられており、東大は文部科学省などと返還について協議するという。
 渡辺教授は朝日新聞の取材に対し「論文に不適切な画像操作を含む図表が掲載されたことについて調査結果を真摯(しんし)に受け止め、深く反省している。だが、(不正とされた図表は)実験から得られたもので、結論を覆そうとする意図で手を加えたわけではない。論文の結論に変わりはなく、国際的な基準では不正にはあたらない」と話した。
 渡辺教授は生殖細胞ができるときに起こる減数分裂の際に大切な役割を果たすたんぱく質を見つけて「シュゴシン」と名付け、04年に論文を発表。15年度に減数分裂の研究業績で朝日賞を共同受賞した。不正と認定されたのは、シュゴシンの働きなどを調べた08〜15年の論文。
 分子細胞生物学研究所では加藤茂明元教授らによる論文不正が発覚し、東大は14年に懲戒処分相当とする最終報告書をまとめた。東大の福田裕穂副学長は「二度と起こらないような方法を考えないといけない。責任は大変重いと考えている」と話した。
 昨年8〜9月、渡辺教授の研究室を含む医学、生命科学系の6研究室の計22本の論文に捏造や改ざんの疑いがあるとする匿名の告発文が寄せられ、東大は調査委員会を設置して調べていた。規範委は渡辺教授らの論文を不正と判断したが、医学部教授らの論文に不正はなかったと結論づけた。(小川裕介)


東京大、教授らの論文不正を認定 グラフ捏造など
朝日新聞 2017年8月1日
http://digital.asahi.com/articles/ASK814JLDK81UBQU00Y.html
 東京大学は1日、分子細胞生物学研究所の渡辺嘉典教授らが執筆し、国際科学誌に掲載された論文5本に、グラフの捏造(ねつぞう)など研究不正があったとする調査結果をまとめ、発表した。東京大では2014年にも、同研究所の元教授らが論文の捏造や改ざんをしたとする最終報告をまとめている。
 大学の発表によると、不正行為があったと認定されたのは渡辺教授と丹野悠司元助教。染色体の分配などに関する論文5本で、実験を行わずにグラフを作成するなどの捏造や改ざんが確認された。08年から15年にかけて、英科学誌ネイチャーや米科学誌サイエンスなどに掲載された。
 昨年8〜9月、渡辺教授の研究室を含む医学、生命科学系の6研究室の計22本の論文に捏造や改ざんの疑いあるとする匿名の告発文が寄せられ、東京大は学外の有識者を含めた調査委員会を設置して調べていた。調査委は今年に入り、渡辺教授らの論文を不正と判断。ほかの5研究室の告発については、不正はないと結論づけた。


くすぶる東北大の論文不正 前総長の研究めぐる疑惑
朝日新聞 2017年5月18日
http://digital.asahi.com/articles/ASK5L2FL7K5LUBQU00D.html?iref=pc_rellink
 東北大の井上明久・前総長の研究をめぐる不正疑惑問題の決着が見えない。同じ画像を複数の論文に使い回したとする指摘について、大学の調査委員会は昨年12月、「意図的とは言えない」と不正を否定する報告書をまとめた。告発してきた同大名誉教授らは4月、再審議を大学に要求した。
■大学側は不正を否定 告発側再調査求める
 不正が指摘されているのは、普通の金属材料より丈夫とされる「金属ガラス」の研究。1990年代以降、次々と論文を発表した井上氏は、2006〜12年に東北大総長を務めた。
 就任半年後の07年5月から、「井上氏が作ったという直径3センチの金属ガラスをほかの研究者は作れず、再現性がない」などと指摘する複数の匿名投書が文部科学省や東北大に届き始めた。その後、同じ論文が別の雑誌に二重投稿されていたことが発覚。同じ写真やグラフが内容の異なる論文に「使い回し」されている例も複数指摘され、疑惑が深まった。
 例えば、井上氏らが96年に発表した論文で「ネオジム合金」として掲載された試料写真が、97年と99年の論文では「ジルコニウム合金」とされていた。97年と99年の論文は合金をX線分析したデータのグラフを掲載。加工の条件が違うと記しているのに、本来は重ならないギザギザした曲線が細部まで一致していた。01年発表の論文でも、合金を電子顕微鏡で撮影したとされる画像が別の論文のものと同じだった。
 昨年12月に東北大がまとめた報告書によると、同じ合金の写真を別物として載せたことについて、井上氏らは調査委に「外観が似ているためにミスをした」と弁明。故意ではないことを裏付けるデータは「海難事故で失われたので提出できない」と主張した。
 調査委は「故意が疑われるという(委員の)少数意見もあったが、それを証明できる証拠もなかった」とし、不正はないと結論づけた。その他の疑惑についても、東北大は以前の調査で「誤りの可能性」は認めつつ、不正はなかったとの立場を示している。
 疑惑を告発してきた大村泉・名誉教授らは、昨年12月の報告書に反発。新たな質問状を4月、現職の里見進総長に送った。大村氏は「総長まで務めた一流研究者が『ミス』を何度も繰り返すとは、とても信じられない」と話す。
 疑惑の論文に絡んで、約22億円の研究費を支給した科学技術振興機構は、井上氏らが誤りを正し、自費出版してでも正しい内容の論文を後世に残すよう、東北大に求める理事長コメントを出した。機構の担当者は「不正認定はされなかったが、前総長自らに疑義が起きた事実を重く見ての異例の対応だ」と説明した。
 大村氏らによる再調査の要請について、東北大は「対応する予定はない」と取材に回答。井上氏は弁護士を通じ、「私の考えは(東北大の)調査報告書にあるとおりだ」と答えた。
■研究不正で目立つ「トップダウン型」
 権力を握る人物が主導する「トップダウン型」の研究不正が近年、注目されている。
 中央大などで科学史などを教える非常勤講師の菊地重秋氏の調査では、98〜13年に報道された国内の研究不正で「主犯格」とされた108人のうち、教授クラスが37人で最も多かった。東京大は14年、元教授が実験ノートの捏造(ねつぞう)・改ざんを研究員に指示したとの報告をまとめている。
 東北大では、井上氏が07年の疑惑発覚後に当時の部下と共同で出した論文が、「同じ大きさの金属ガラスは誰にも作れず再現性がない」との指摘を否定する根拠とされた。
 部下はその後、井上氏らが大村氏らを名誉毀損(きそん)で訴えた訴訟(16年に井上氏の勝訴確定)で、この論文についての報告書を裁判所に提出。「科学的に不適切だった」「井上氏に辞任を促されて精神的に追い詰められていた頃に、井上氏の強い指示で研究を始めた。決して逆らえないと感じていた」と告白した。
 リーダーに従う研究者が不正を隠すと、明るみに出にくくなる。2月に日本工学教育協会が主催した研究倫理のワークショップでも、トップダウン型不正が議題になった。
 研究者の倫理教育に取り組む滋賀県立大の原田英美子准教授(植物科学)は、身分の不安定な任期付きの若手研究者にとって特に切実な問題だとみる。「生活のために若手が不正に手を染めざるを得なくなる。不正の悪影響が次世代にまで及ぶ」と指摘している。
<アピタル:ニュース・フォーカス・科学>
http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/
(小宮山亮磨、嘉幡久敬
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